精神は絶対の分裂に身を置くからこそ真理を獲得するのだ。
精神は否定的なものに目をそむけ、肯定のかたまりとなることで力を発揮するのではない。
精神が力を発揮するのは、まさしく否定的なものを直視し、そのもとにとどまるからなのだ。そこにとどまるなかから、否定的なものを存在へと逆転させる魔力がうまれるのである。
ヘーゲル 『精神現象学』より
「精神現象学」という奇書。
短期間で一気呵成に書かれたと言われているが、
物凄いエネルギーを秘めた本。
意識が遍歴を重ね、真理へとたどり着くまでの
物語。そう、物語なんだ
わかりやすいと言われる長谷川宏氏の訳でも、
かなり面食らう。
最近文庫で翻訳が出たテオドール・W・アドルノの「三つのヘーゲル研究」に、ヘーゲルの読み方に関して書かれていて面白かった。
アドルノは言う。
「われわれはヘーゲルを読む場合、自分も一緒に精神的運動のカーブを描き、いわば思弁の耳で、彼の思想が楽譜であるかのように聴きながら、一緒にそれを演奏するという風に、読まねばならない」。
なるほど。
そうやって読むと、確かに速度がついて
Beatが生まれる。
ヘーゲルのbeatは、かなりヤバイよ。
16ビートのヘーゲル。