谷武幸氏・桜井久勝氏の「1からの会計」を読んだ。会計について学ぶ最初の一冊に適したテキストである。
本書では、会計に関する基本概念について「概念フレームワーク」から引用している。恥ずかしながら概念フレームワークについて初めて知ったが、これは企業会計基準委員会の発表した討議資料であり、企業会計の基礎となる概念等を体系化したものある。概念フレームワークに依拠していることから、本書における会計の基本概念は正確であり、信頼性が高い。わかりやすさを標榜して我流の説明をしている類書も多いので気を付けたほうがいいだろう。
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/misc/begriff.html
会計の分野には、財務会計と管理会計があるが、その両者の意義について、本書から、引用させていただく。「財務会計は、企業をめぐる利害関係者、すなわち社債権者・金融機関などの債権者と株主の利害調整や投資者に対する情報提供を機能とする会計の分野である」(p12)。それに対して管理会計は、「企業における経営管理のための会計に関わる分野であり、その情報を利用するのは」(p13)企業の経営管理者であることから、管理会計と呼ばれる。
本書は財務会計を中心とした内容であり、だれもが知っている企業の開示した会計情報を例に挙げながら、説明がなされるので非常にイメージしやすい。
この本では、 ドイツの社会経済学者W.Sombartの 「複式簿記がなければ、資本主義経済の発展はなかったであろう」という言葉が紹介されている。確かに複式簿記は、よくできた制度だと思う。簿記をマスターしたい、そんな気になった。