「「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講座」を読んだ。
非常に読みやすく、面白い本である。本のレイアウトも工夫がなされている。章にあたる講(講義を書籍化したものだから)の始まりとして、右ページに各講のタイトルが来るようになっていて、その前の見開きページには必ず写真が入っている。とてもスタイリッシュな構成だと思う。文字の大きさも、読みやすい(もしこれ以上、大きくなると逆に読みにくくなるだろう、その意味で絶妙な大きさ)。さすがである。
内容も、もちろんさすがである。この本には著者なりのセンスの定義が書かれている。すなわち、「センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力である」(p53)。「ぼくらが何かを選んだり、決めたりするときに」ぼくらがしていることは、「自分がそれまで蓄積してきた知識をもとに、最適化を」(p53)はかることなのではないかと、著者は言う。
著者の主張の肝は、センスとは先天的なものではなく、後天的に、学習によって身につけることが可能なのだということにある。そしてセンスの磨き方として、著者は3つの方法を挙げている。僕なりに別の言葉に置き換えるならば、「不易流行の追求」と「パタン認識」とでも言えるだろう。方法以前に何よりも重要なことは、センスを身に付けたい分野、ポップミュージックでも、ファッションでもなんでもいいが、その分野に関しては、圧倒的な情報量を浴びることだろう。
センスを身につけるための極意、それは、「好きこそ物の上手なれ」に尽きると言えるだろう。