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これからの音楽レーベル

「未来型サバイバル音楽論―USTREAM,twitterは何を変えたのか」(中公新書ラクレ:津田大介、牧村憲一他)を読んだ。これからのアーティストやレーベルの在り方を考えるうえで、様々な示唆に富んだ一冊。

「新しいアイデアを実現する環境が登場してきたとき、それを使って何ができるんだろう、どんな面白いことをするんだろう、そこでどういうキャラクターの打ち出し方ができるんだろう、とストーリーを考えるのがこれからの未来型のレーベル」(p146)だという。そのためには、「絶えず技術やデジタル化のような環境の激変に対して、本当にセンシティブであり続けること」が重要であり、その新しい環境に対応しながら「アーティストがどういうキャラクターやストーリーを打ち出して、ネット時代のパーソナルとしてどう消費してもらうか」を考えなければならない。

レーベルの意義について牧村氏は「自分がリスナー、ユーザーとして、一つの音を知るための手口、あるいは音の周辺をするための手口としてのラベル、デザインされたロゴマークも含めた目に見える信頼性という意味でのラベル」(p63)であるという。

そしてレーベルの果たす役割は津田氏によれば「どういうふうにムーブメントを起こしていくか」(p44)を考えることであり、そのためには、「何を目標にしているのか、どういうことを表現したいのか。今の時代にとって、何がヴィヴィッドなのかというところを押さえて、どう演出するかということがレーベルの主な役割でしょう。そこで、ミュージシャンだけに限らず、どういうクリエイターを連れてきたら一緒に面白いものができるか、そういう視点で考えることが、恐らくこれからレーベルを作る上でキーポイントとなります。」(p56)

ウェブサービスの変化に関して、「今までネットは、ずっと『とりあえず置いておいて後で検索しよう』というストック型のものでした。ところが、初期衝動のようなものが、ツイッター、ユーストリームの登場で伝わりやすくなっている。」(p57)との津田氏の指摘もなるほどと思った。ツイッターやユーストリームはライブ性の強いメディアなのだと再認識した。そうしたツールを使うことで、ウェブでの活動の可能性は広がる。

高円寺の『円盤』や下北沢の『モナレコード』の取り組みや、「まつゆきあゆむさんの『一億年レコード』など実例も豊富に採り上げられており、参考となる。